防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 降雪粒子観測速報
掲載内容の説明

 この降雪粒子観測速報ページでは防災科学技術研究所が研究のために行っている降雪粒子観測と自動分類データを速報図として公開しています。観測は(1)雪氷防災研究センター(新潟県長岡市)設置のMP2レーダー観測領域内、(2)南岸低気圧観測ための関東平野観測所、(3)雪崩観測所、で行われており、防災科学技術研究所運営費交付金『変容する雪氷災害の危険度把握と面的予測の融合研究』によって運営されています。以下、観測とデータ処理について簡潔に説明します。

1.降雪粒子の観測

 降雪粒子の観測は「光学式ディスドロメータ-」と呼ばれる測定機器で行っています。これは、降ってくる雪の粒子ひとつひとつの大きさを測定するもので、ここで使用している機器では、レーザー光を用いて粒子の大きさと通過時間を測っています。落下速度はいくつかの仮定に基づいて計算された値が出力されます。みぞれや雨も同様に観測します。(中井ら, 2020)

光学式ディスドロメータ-を用いた降雪粒子の観測。シート状のレーザー光を降雪粒子が横切ると検知される。

2.降雪粒子の分類

 観測される降雪粒子の数は、多いときには1分間に数万個に達します。その代表的な大きさ(CMF粒径)と落下速度を統計的に求め(Ishizaka et al., 2013)、それらを基にして降雪粒子の種類を自動分類しています。図に示されているRMIとは、降雪粒子を簡易的に分類するために導入したパラメーターで、1.0~2.5が霰、それ以下を粒径によって雪片と小粒子に分けています。雨と雪は気温を用いて判定しています。
 図には降雪粒子の種類をアイコン表記しています。表示が2段に分かれており、乾いた雪の場合は上段に雪片、あられ、小粒子のいずれかが表示されます。気温から融解があると判定された場合は、雨、みぞれのいずれかが下段に表示されます。

雪片 雪片  あられ あられ  みぞれ みぞれ  小粒子 小粒子
雨 雨   降水なし 降水なし  値なし 値なし


参考文献:
中井専人・山下克也・本吉弘岐・熊倉俊郎・村上茂樹・勝島隆史, 2020: 球体を用いた室内試験と全粒子ロギングによる1ビーム光学式ディスドロメーターの特性評価. 天気, 67, 89-108.
Ishizaka., M., H. Motoyoshi, S. Nakai, T. Shiina, T. Kumakura and K.-I. Muramoto, 2013: A new method for identifying the main type of solid hydrometeors contributing to snowfall from measured size-fall speed relationship. J. Meteor. Soc. Japan, 91, 747-762.